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from川島かおる

​家庭医

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『気づいたら気軽に声を

               かけあえることの大切さ』

  毎年秋頃になると私の外来には、就学前のお子さんを連れ「支援学級が適応といきなり言われて…。」と困惑した保護者さんが何組か受診されます。

 この時期、就学前(年長さん)のお子さんのうち、いわゆるグラデーションの濃いめ(赤から濃いピンク)の子たちに関して、支援学校or支援学級or普通学級のいずれに進学することが適当かということを市の委員会(教育委員会の方や保育幼稚園関係の方、医療関係者などが所属)で検討され、決定事項が保護者に通知されます。  

                                                                                                           

(ただし、原則として最終的にどこに進学するかは保護者に決定権があります。)

 もちろん、就学前のもっと早い時期に(例えば1歳半健診や3歳児健診で指摘を受けたり、保育園や幼稚園で指摘を受けたり、そもそも保護者自身が何か気になることがあったりして)受診される方が大半ではありますが、この就学直前の時期に寝耳に水でという方も少なからずいらっしゃいます。

 単純にその子に発達障がいなど支援の必要な状況があるかどうかを診断するだけでなく、保護者に発達障がいのことをきちんと伝えたり、支援学級のことを正しく伝えたり(残念ながら支援学級に対してもまだまだマイナスイメージを優先している人が多くいるのが現状です)した上で、実際にどこに進学するかを決定するにはあまりにも時間が足りなすぎて、いろいろなことが不十分なまま、進めざるを得なくなってしまい、本人にとっても家族にとっても、学校の先生や同級生など周りの人にとってもあまりハッピーでない状況を招くことも少なくありません。

 これはそれまでに気付かなかった保護者が悪いというわけではなく、家族というよく慣れた相手、少人数の環境、あるいはよく慣れた環境では特に問題がない程度のピンク色だったり、集団だからこそ目立ってしまうピンク色の場合がほとんどだったりします。もしかしたらお友達の家で遊んでいるときや地域の活動に参加しているとき、お友達の家族や地域の方は少し気になっていたかもしれません。保育園や幼稚園では気付いていた人(先生や周りの保護者さん)がいたかもしれません。ピンクの濃さ(発達障がい的要素の濃さ)にマイナスイメージを持つ人が残念ながらまだまだ多い社会だからこそ(本当はプラスなこともたくさんあります!!)、その気付きをうまく伝えてあげられないのかもしれません。

 でも、できるだけ早くピンクの濃さに気付いていろんな介入をすることは(たからばこの紹介であったり、医療機関の受診であったり、何より保護者が気付くことだったり)、そのお子さんにとって間違いなくプラスにつながります。最終的には、思ったほどピンクが濃くなくて、「支援も必要なかったね。」となったとしても、決して無駄な介入にはなりません。

 発達障がいのグラデーションを一人でも多くの人に知ってもらって、ちょっと気になるお子さんにできるだけ早く気付いて、ご家族とも気持ちを共有し、一緒に楽しく歩めるような地域にもっともっと近づけたらなあと日々思っています。

                                        

(たからレターNO.8より)

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