top of page

message

from    福原啓子

元館山市簡易マザーズホーム 主任保育士

『肯定的な言葉がけと共感を大切に』

ふくちゃん写真.jpg

 私は、館山市簡易マザーズホームで平成5年から平成25年までの20年間障がいのある子ども達や親ごさん達と関わってきました。そこで障がいについていろいろなことを学ぶことができ、また、多職種の人との出会いにより多くのアドバイスをもらいながら仕事をすることができ、退職した今、感謝の気持ちでいっぱいです。

 その中で「NPO法人たからばこ」との出会いがありました。マザーズで知り合った言語聴覚士さん、理学療法士さん、作業療法士さんの紹介で集いに参加したことがきっかけです。子ども達が持っている素敵な力を引き延ばしたい、子ども達を楽しませたいという思いから、親御さんとみんなでいろいろ企画し、ある時「となりのトトロ」の一場面を再現したことがありました。トトロのお腹のような白い大きなフワフワした布の上に子ども達が乗り、子ども達は夢の世界で大喜びでした。普段声を出さない子が声を出し、本当に感動的でした。毎回親ごさん達のパワーに圧倒され、私自身も元気をもらいました。

 そして、「たからばこ」に子育てで同じような悩みを持つ親ごさんを紹介したところ、様々な相談にのっていただき、親ごさんも私自身も助かりました。決して独りではなく、みんなが支えてくれる「たからばこ」です。

 

私は、40年間保育士として勤務したので、携わった子ども達の中には成人した子もいて、成長した姿を見ることができ幸せに思っています。

 

 そんな子ども達を見ていると、本当に乳幼児期が大切とつくづく思います。ある例を紹介します。何年も前なのですが、マザーズに来た4歳の男の子は、友達を叩いたり、物を投げたり、手が出てしまうことが多い子でした。お母さんを見てみると、本当に一生懸命子育てをしているのですが、子どもに対して、脅しの言葉がけが多く、その子にとって不安な気持ちを増してしまうのではないかと思いました。そこで、親ごさんに脅しを伴う言葉を使わずに、肯定的な言葉で伝えてほしいとお願いをしました。初めは難しいようでしたが、一生懸命肯定的に伝えるように努力をしてくれました。1か月がたち、子どもに変化が見られ、友達に手を出すことが徐々に減っていったのです。その親ごさんに共感し、喜びを分かち合い、親ごさんにも笑顔が見られるようになりました。

 

 この例からわかるように、肯定的な言葉がけは子どもの情緒を安定させます。しかし、「〇〇しない」「ダメでしょ」など否定的な言葉がけは本人にとって自信を無くし「どうしたらいいの」「わからない」という不安な気持ちにさせてしまいます。いつも脅しの言葉を聞いていると、その子にとって人は「怖いもの」となり、不安な気持ちでいることが多くなってしまいます。具体的にしてほしいことを短い言葉で伝えると何をすればよいかわかりやすくなり、実行に移しやすくなります。そして、できた時にはその場で褒めてあげればよい行動が増えていきます。肯定的な言葉がけをすると、本人が安心して「できる」という気持ちになり、自分を大切にしてくれていると感じ、愛情を素直に受取ることができるようになります。自己肯定感が育てば「自分は自分でいいんだ」と前向きになり、人のことも大切にできるようになります。

 私は、これからもありのままの子どもを尊重して、肯定的な言葉がけ、共感を大切に子育てのお手伝いをしていきたいと考えています。

​            (たからletterNo.29より)

bottom of page