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from 成田浩美
子育ちアドバイザー
『愛と思いやりの心~学び愛 支え愛~』
親から子へ、祖父母から孫へと伝わってきた子育ての知恵や知識。
昭和から平成そして令和へと時代が移り変わろうとし、子育て情報誌はインターネットに取って代わられ、次の時代は、私達人間がAIに子育てを指示、管理されそうな勢いです。それでも、子育て中の親の悩みは減っていくどころか、むしろ増えているように思えます。
先日、スイスに住む5歳と3歳の男の子の育児真っ最中の娘から、【読んで貰いたい本『思春期の親子関係を取り戻す―子どもの心を引き寄せる「愛着脳」』】という、タイトルのメールが届きました。 娘曰く「自分の今までの行動、人間関係、人間性が何故こうなのか、息子との関係でも悩み、セラピーに行こうかと思っていた。これまでなぜこうなってしまうのかわからなかったが、この本を読み、自分の行動、人間関係のパターンの理由・原因がやっとわかった。」とのことでした。
早速、私もその本を取り寄せて読みました。
前書きとして、著者である臨床心理学者ニューフェルド博士と共同執筆者であるマテ医師が出会ったのはマテ医師夫妻が自身の子どもの育児不安で相談したことがきっかけとなったこと、その後も折に触れ思春期を迎えた子ども達の子育てのことで相談しているということが書かれていました。その際、ニューフェルド博士は、子どもに最も影響を与える存在であるべき親や教師が弱体化してその力を失い、それに代わって、(SNSを通して影響を与え合う)仲間から教えやモデルや指導を受けている、すなわち、未熟な子ども達同士が育て合う「仲間指向性」が、子ども達を混乱させ、その結果多くの問題が起こり、現代社会に蔓延していることを指摘したのです。そして、その臨床心理学者と医師の二人が、人々が本来持っていたはずの子育ての本能を覚醒させる意図で、この本は執筆されたのです。
彼らが問題提起していることは、私にとって新しい情報であり、納得のいくものでした。その中でも「子育ての秘訣は、親が何をするかということではなく、子どもにとってどんな親であるかということだ」の一文がストンと心に落ち、それと同時に、親にとってとても良い問いかけであると感じました。
「いよいよ、新しい時代の幕開けです。
あなたは、子どもにとってどんな親でありたいですか?」
~子どもは、聞くものよりも見るものに、親の言葉よりも親の行動に従います~
それを知っているだけに、この問いに、すぐ答えられませんでした。
上記『思春期の親子関係を取り戻す―子どもの心を引き寄せる「愛着脳」』の本には、次のように書かれてありました。
「愛着と指向性(方向や目的を指示してその方に向かわせること)は密着に絡み合っている。子ガモの刷り込み本能とよく似ており、卵から孵化すると、子ガモはすぐに母ガモを刷り込み、成長して独立するまで母ガモについて回り、母ガモのする通りに行動し指示に従う。しかし、母ガモがいなければ…」
子どもは私のする通りに行動し、成長する?!(なんと恐ろしいこと!)
しかし、どこを探しても完璧な親などいないのです。人は完璧には成り得ないからです。
ここで、次の詩を皆さんと分け合いたいと思いました。
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完璧 vs 愛
完璧さは簡単に人に見切りをつける 愛は次は良くやってくれると人を信じる
完璧さは些細なミスを素早く指摘する 愛は素早くそのミスをフォローする
完璧さはよく急ぎ、せかす 愛は忍耐があり、時間をかけ、揺るがない
完璧さは簡単に腹を立て、憤る 愛は耐え忍ぶ
完璧さは何かと口出しする 愛は耳を傾ける
完璧さは自分よりも優れている者だけを尊敬する 愛は誰でも尊敬する
完璧さは多大な仕事と努力を要求する 愛は祈りと時間をかける
完璧さは命令する 愛は提案する
完璧さは頭に訴える 愛は心に訴える
完璧さは「人」よりも「自分」を優先する 愛は「自分」よりも「相手」を優先する
完璧は完璧になろうとするが 愛はひたすら愛する
原作:クリスタル・ペグリー 翻訳:なりたひろみ(著作者の許可を得て一部改訳)
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私たちが、心しなければいけないことは、自分が完璧でないことを知り、認め、 子どもと一緒に成長したいと願いつつ、ひたすら愛することをやめない、あきらめないことではないでしょうか。
学び愛 支え愛の“たからばこ”に心から感謝して…