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​from天野健児

​臨床心理士

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『発達障がいは発達します!!』

 こんにちは。天野健児(あまのけんじ)と申します。私は多くの発達障害と言われる方と関わってきました。私は「臨床心理士」という仕事をしていて病院(館山病院で2013年3月まで)、東京の小学校、中学校でカウンセラーをしています。カウンセラーの専門は心の事です。だから実は発達の専門家ではないのです。でもカウンセラーをしていると心の事ばかりではなく、発達の偏りをめぐる周りの環境から心の病気になっている人が多く見られます。悲しい事ですね。そんな私が専門家として言いたい事は、「発達障害は誰にでもあり、時と共に発達する」という事です。

 

 私の師匠の1人、精神科医の神田橋條冶先生(鹿児島伊敷病院)は、「あなたも私も発達障害、みんなみんな発達障害」と唱えればいいとおっしゃっています。その考えに共感する私も発達障害があると思います。思えばずいぶんと発達したものです。

 

 そんな私と武田さん一家との出会いは三芳の自然塾の「種の勉強会」で走馬君と遊んだ事からでした。そしてその後武田さん主催による「発達障害の勉強会」に行き驚いたのです。私は発達障害を持つ親御さん方が「大変」とか「辛い」という被害者の立場で話をする場なのかと思っていました。しかし参加した方々は実に多くの本を読み専門的な知識を勉強し障害のあるなしに関わらず、皆が対等に生きて行ける社会を望んでいたのです。

 

 その事から大変勇気をもらいました。それは以前、私はある不登校の生徒と関わっていて無力感を感じていたからです。その生徒は読字障害(ディスレキシア)と呼ばれる分かりづらい発達障害を持っていました。その事を言えずに不登校になっていたのですが、文字を読む事、書く事を努力しても出来ない事がどんなに恥ずかしく、孤独な気持ちか。そして出来ないと「怠けている」と言われる事がどんなに悔しいか。そしてその気持ちを理解した私が先生方に伝えても「字が読めない訳がない」「家で勉強してないから」と全く理解されない孤独にさいなまれていたか。そしてその「孤独」こそが発達障害を持つ人の苦しさだと思えた頃でした。さらに障害を理解した人は理解しない人と体験を共有出来ず孤独になるのです。だから私は「たからばこ」の皆さんの活動や話を聞くと本当に孤独が癒されます。

 

 もう1つ癒される話を。先ほどの生徒ですが、この2月に芸者さんとしてデビューしました。彼女は一生懸命勉強し(原稿用紙が厚さ9センチになるまで作文を練習しました。)その自信を元に高校に受かったのですが、中退し自分が好きだった踊りや耳の良さを生かし芸者になると修業をしていたのです。3年ぶりに会ったのですが、本当にしっかりした様子に変わっていました。私は会社に就職するだけが全てではないと思いました。ちなみに彼女をお座敷に呼ぶには何万円もかかるようです。すごいですね。いつか熱心に関わってくれた適応指導教室の先生方とお座敷に行こうと話しています。とても楽しみです

 

 私はこの生徒のように「自分の資質を生きる」事がどんな人でも大切だと思います。そして誰もが発達の偏りを持ち、その偏りを大切に生きると発達し続けると思っています。

​       (たからレターNO.1より)

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